貿易は異国と行う商売ですので、国内で行う商売と比べてどうしても数多くのトラブルに巻き込まれてしまいます。
異なる言語、異なる文化、異なる経済状況、異なる価値観..その原因を上げたら本当に切りが有りません。
だから国内で常識と思っていた事も、海外に行けば非常識と思われてしまう事も少なく無いのです。
その様な複雑な影響を受ける貿易取引において、なるべくトラブルが起きない様に貿易条件を国際標準化したのがこのインコタームズ(Incoterms)なのです。
インコタームズとは?
インコタームズはInternational Commercial Termsが語源となりIncotermsとなりました。
インコタームズは国際商業会議所によって1936年に初めて制定され、以降、時代背景の変化に伴い改版が重ねられ、現在実行力を持つ最新版はインコタームズ2010となっています。
インコタームズでは貿易で重要な費用負担の範囲、危険移転の分岐、売主・買主双方の役割を定義しています。
国際商業会議所(ICC)とは?
国際商業会議所とは英語でInternational Chamber of Commerce、略称はICCとなります。
国際商業会議所の所在
本部はフランスのパリに在り、日本委員会の事務局は丸の内となっています。
国際商業会議所の目的
- 国際貿易(商品・サービス)と投資を促進する
- 企業間の自由かつ公正な競争の原理に基づく市場経済システムを発展させる
- 世界経済を取り巻く様々な問題(環境、社会問題、等々)への提言を行う
以上の情報は国際商業会議所・日本委員会のサイトに記載されていますので御覧ください。
最新版はインコタームズ2020?それともインコタームズ2010?
上述の通り、2019年現在実行力を持つのはインコタームズ2010となります。
しかしながら既にインコタームズ2020が2019年9月10日に英文で発行されていて、その発効は来年の2020年1月1日からと決められています。
だから2019年内まではインコタームズ2010、そして2020年明けてからはインコタームズ2020が実行力を持つ事となるので注意して下さい。
因みに英文のインコタームズ2020に関しては、国際商業会議所のこちらのページから購入する事が可能です。
インコタームズ2010の概要
インコタームズ2010は2011年1月1日から発効されました。
その内容は2つのクラスと11のルールに分類されています。
インコタームズ2010の2つのクラス
- あらゆる輸送形態に適した規則 国際輸送では船舶、航空、トラック、鉄道など様々な輸送形態が想定されます。
- 海上および内陸水路輸送のための規則 簡単に言えば船舶便のみ適用される特別な内容となり、こちらのクラスの中には4つのルールが存在します。
それらいずれであっても適用されるのがこちらのクラスの内容となり、このクラスの中には7つのルールが存在します。
インコタームズ2010の11のルール
上述した2つのクラスに分けて説明します。
- あらゆる輸送形態に適した7つのルール
- 海上および内陸水路輸送のための4つのルール
EXW (Ex Works) | 出荷工場渡し条件 |
FCA(Free Carrier) | 運送人渡し条件 |
CPT(Carriage Paid To) | 輸送費込み条件 |
CIP(Carriage and Insurance Paid To) | 輸送費保険料込み条件 |
DAT (Delivered At Terminal) | ターミナル持込渡し |
DAP (Delivered At Place) | 仕向地持込渡し |
DDP (Delivered Duty Paid) | 仕向地持ち込み渡し・関税込み |
売主の観点からするとEXWが最も費用負担や義務が少なくなり、下に行くに連れそれぞれ増えていき、DDPが最も多くなります。
買主の観点からは単純に全く逆となります。
FAS (Free Alongside Ship) | 船側渡し条件 |
FOB (Free On Board) | 本船甲板渡し条件 |
CFR (C&F Cost and Freight) | 運賃込み条件 |
CIF (Cost, Insurance and Freight) | 運賃・保険料込み条件 |
こちらも売主の観点からするとFASが最も費用負担や義務が少なくなり、下に行くに連れそれぞれ増えていき、CIFが最も多くなります。
こちらも同様に買主の観点からは単純に全く逆となります。
上記の中から特に頻繁に使われるルールに関しては、それぞれ詳細を記事にしていますので参考にしてください。