値決めは営業!値決めこそ経営!

約5分

あなたは自分の商品の価格をどの様に決めていますか?

京セラの創業者である稀代の名経営者、稲盛和夫氏は
「 値決めは経営 」
経営の死命を制するのは値決めだと喝破しています。

確かに1円高く売る事が出来れば、純利が1円増える訳です。
1円高く売る為にはお客様との攻防が有るでしょうから、それこそ値決めとは営業の真価が問われる事でしょう。

後からの値上げは困難と言うか、寧ろお客様からは商品の陳腐化と共に値下げ交渉をされるのが商売の悲しい常です。
だから最初の値決めが本当に重要なのです。
その最初の値決めの積み重ねが利益を決めるので、正に値決めとは経営の死命を制する訳です。

きちんと最初から1円高く売る事が出来れば、若しかしたら商品を1個多く売るよりも、商品を新しく開発するよりも、新しいお客様を1社増やすのよりも遥かに簡単では無いですか?

しかしながら1円高くした事で、若しかしたら1個も売れなくなってしまうかもしれません。

その様にデリケートな値決め。
値決めが大切なのはわかったとしても、一体どの様にして値決めをしていけば良いのでしょうか?

コストを基準とした値決め法

コストを基準にした値決めとは、掛かったコストに利益を足し合わせる値決め方法です。

コストには売上原価となる直接費用以外に、人件費や販促費用や地代家賃などの販管費である間接費用も含めなければなりません。

在庫は残れば償却しなければならないコストとなってしまうので、どれくらい消化されるのかと言うのも考慮しなければなりません。

費用に利益がマークアップされるので、基本的に赤字になる事は有りません。

目標利益を基準とした値決め法

目標利益を基準にした値決め法とは、何個売ったら幾らの利益が欲しいと言う様な目標から決められる値決め法です。

何個売る事で、例えば金型などの投資費用を回収すると言う目標設定も有るでしょう。

また経営予算や営業予算に対し、どれくらいの時間リソースを投入するかなどで目標は決められる事になるのでしょう。

競合価格を基準とした値決め法

競合価格を基準とした値決め法とは絶対値では無く、競合価格と言う相対値に配慮する値決め法です。

どんなに安くしたつもりでも、競合の同等品が更に安いのであればお客様がそちらになびいてしまうのは自然です。
そして対抗した値決めで赤字になってしまうのであれば、そもそもの自社のコスト競争力が弱いと理解しなければなりません。

若しかしたら競合は在庫処分をしたい理由が有り、出血大サービスの値決めをしているかもしれません。
しかしながら安い同等品が存在すれば、自社商品も安くしなければ売れない可能性は高くなる訳です。

いずれにせよ売れる価格とは自社のコスト競争力とは、市場では全く関係が無いと言う事に注意して下さい。

需要を基準とした値決め法

消費者は習慣的に、この様な商品はこれくらいの価格で売られているものだ、若しくはこの様な商品だったら幾らまで出しても良いと言う様な認識を持っています。

だから市場で似た様な商品が売られていた価格を参考に、似た様な値決めをするのが無難と言えば無難なのです。

価格戦略に基づく値決め法

価格戦略に基づく値決めとは、簡単に言えば凄く安く売るのか、それとも凄く高く売るのかと言う戦略毎の値決め方法です。

市場浸透価格戦略

新製品を投入する際に一挙に市場シェアを獲得する為に、非常に安価に設定する値決め戦略です。

若しくは大量に売れれば量産効果が発揮出来る場合の勝負価格です。

或る程度シェアを取ればブランディングも出来ますし、若しかしたら競合を潰す事が出来るかもしれません。

その様になった後に、ジワジワと価格を上げていくのが想定されてしまいます。

上澄み価格戦略

或る程度独占出来ている環境であれば、先行者メリットと言わんばかりに最初はなるべく高く売ると言う値決め戦略です。

競合に追いつかれたり、消費者が飽きてきたりする前に徐々に値下げをしたりするのが想定される戦略です。

値決め方のまとめ

市場での最終価格は、売手からの供給と買手の需要が交差した点で決まります。
この様な自由競争環境下であれば、アダム・スミスが提唱した ” 見えざる手 ” が市場の中で落ち着くべき価格に誘導していくのです。

つまり供給が変わらない場合、需要が高まれば高まるほど高く売れる訳です。
供給が多くなれば競争は激化しますので、誰かが抜け駆けしようと安価さに逃げる可能性が高まります。

注意しなければいけないのは高く売れたとしても、数量がその分落ちてしまえば利益も減ってしまうかもしれないと言う事実です。

同じ利益であれば高く少なく売った方が、手間が効率化されて良いかもしれません。
一方で同じ利益で安く多く売った場合のメリットは、景気に左右されず安定するかもしれないと言う点でしょう。

実際の値決めはコストからのボトムアップと、需要や競合価格からのトップダウンの両面から決定される事が多いのでは無いでしょうか。

利益を最大化させる為の値決め、本当に真剣に考える価値が有ると思います。