急がば回れ、シーズを売る為には先ずニーズを売れ!

約6分

唐突ですが、営業で駄目と言われている行動を幾つか頭の中に思い浮かべて下さい。
幾つ上がりましたでしょうか?

私達が営業で最も駄目だと思っているのは..ズバリ商品を押し売りしてしまう事!です。
どうしても売りたい一心で、この商品は素晴らしいですよとゴリ押ししてしまえば、お客様の不満が大爆発し易いと考えるからです。

それでは、何で押し売りが駄目なのでしょうか?
その前に、そもそもお客様は何で商品を買いたかったのでしょうか?

..いや、そもそもお客様は商品自体を買いたい訳では無いのですよね。
だからその商品が業界で一番だとか、どの様に優れた技術が導入されてるとかは、実はお客様にとって So what?な訳です。
お客様は自分が抱えている悩みを解消する為に、只の一つの ” 手段 ” としてその商品を買おうかと考えているだけなのです。

そうなんです、お客様は ” 悩み=ニーズ(Needs) ” を解消する為に ” 商品=シーズ(Seeds) ” を必要としていると言う順序を間違えてはいけないのです!

ドリルを売るには穴を売れ

昨年、4分の1インチ・ドリルが100万個売れたが、これは人びとが4分の1インチ・ドリルを欲したからでなく、4分の1インチの穴を欲したからである

このマーケティングの名言が、正に言わんとする事を簡潔に説明してくれている様な気がしています。

あなたがドリルを売る営業マンだとしましょう。
あなたはドリルの営業マンなので、一生懸命に自社のドリルを営業してしまう事でしょう。
でもそれではお客様は逃げていってしまうのが普通です..だってお客様はドリルが欲しいのではなく、只、穴を開けたいだけなのですから!

どんなに素晴らしいドリルであったとしても、そもそもお客様が希望する穴が開かなければ無用の長物となってしまいます。
だからドリル自体の素晴らしさをどんなに力説されても、お客様にとってはSo what?となってしまうのです。

更に話が難しくなるのが、お客様はどの様な穴を開けたいのかわからない場合が往々にして有ると言う事です。
お客様自身がどの様な穴を開けたいのかわかっているのであれば、どこに開ける穴なのか、どれくらいの大きさの穴なのかなどをインタビューし、それに見合うドリルを営業すれば良いだけかもしれません。
しかしながら現実にはどの様な穴を開けるべきなのか、若しかしたら穴を開けるのが最善の方法なのかさえわからないと言うお客様の方が多いかもしれません。
お客様はプロでは無い訳ですし、そもそも問題をきちんと把握すると言うのはかなり難しい事なのです。

それにも関わらずドリルと言う ” 商品=シーズ ” を只々押し売りしてしまえば、それは恐らくミスマッチとなってしまうのでお客様の不満が大爆発してしまうのは想像に難くありません。

だから先ずは穴が有ると便利ですよね、開けるのであればこんな穴が素敵ですよねと、穴の営業をする事から始めればミスマッチは起こりません。
そしてどうしてもその様な穴が開けたくなり、あなたのドリルがそれに最適であれば..どんなに営業が下手でも売れてしまうのは間違い無いですよね!

シーズを売る為にニーズを創った見事な事例

今から5年ほど前に大ヒットした名著 ” FREE ” には、シーズを売る為にニーズを創った見事な事例が幾つか紹介されています。

中でも有名なのはジレットの髭剃りでは無いでしょうか。
ジレットは使い捨て剃刀を街中にFREE=無料で配る事で、自ら剃刀の替刃の需要を創り出しました。
これで囲い込み市場を完成させ、ジレットは悠々と長い間替刃を売り続ける事で莫大な富を築いたのでした。
この様なビジネスモデルはジレットモデルと言われ、今ではプリンターの本体を限界まで安く売り、消耗品のインクで利益を上げると言う様に様々なビジネスで受け継がれています

更にFREEではゼラチンを売る為に、ゼラチンで作る料理のレシピ本を配ると言うエピソードも紹介されています。
その料理が作りたくなれば、材料であるゼラチンが必要になりますからね。

因みに世界的なタイヤのメーカーであるミシュランが、なぜレストランの格付けをしているのでしょうか?
考えてみると結構不思議ではありませんでしょうか?
しかしながらこれもその深謀遠慮を聞けば大いに納得する事でしょう。

ミシュランはレストラン巡りを提案する事で、何と旅行と言うニーズを創り出していたのです!
そうです、旅行には是非、車で行って下さい..そうすればタイヤがもっと売れる様になりますからね!!

まとめ

実際のところ、ニーズを創り出すのは難しいかもしれません。

しかしながらお客様の持っているそもそものニーズを深く理解してもらう事に努めれば、お客様はそのニーズを満たす欲望を止められなくなるのではないでしょうか。
お客様がその穴をどうしても開けたくなれば(=ニーズ)、プライスレスとまではいかなくとも、その手段に対してある程度の費用を理解してくれる事でしょう。

逆に穴をあけると言う欲望が薄ければ、あなたが紹介するドリル(=シーズ)に対してはきっと目をくれる事も無いでしょう。

そうなんです、急がば周れでは無いですが、あなたのシーズを売りたければ、それが解消するニーズを徹底的に考え、先ずはそのニーズから売り込む様にして下さい。

例えば、レーザーポインターを売りたければプレゼンテーションの重要性を売り込んだり、Bluetoothモジュールを売りたければワイヤレスアプリケーションの素晴らしさを売り込めば良い訳なのです。

どうでしょうか?
これからは自分達のシーズを売る為に、先ずはニーズを売り込む事から始めるのが回り道どころか、寧ろ近道だとご理解いただけましたでしょうか。
これからは、そのシーズが解決するニーズを徹底的に売り込む様にしていきましょう!

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