インコタームズ(INCOTERMS)2010には2つのグループ、そして11の貿易条件が規定されていますが、その中で輸出者(Shipper)にとって一番楽な貿易条件がこのEXW (Ex Works) となります。
逆に言えばこのEXWは輸入者(Consignee)にとって一番大変な貿易条件となる訳です。
またINCOTERMSについてはインコタームズ(Incoterms)と呼ばれる貿易条件とは?と言う記事に詳しく書いていますのでそちらを参照下さい。
それではこのEXWを出来るだけ詳しく分解していきましょう!
EXW (Ex Works) とは?
EXW (Ex Works) はあまり難しく考えずカタカナ英語的にエクスワークスと発音すれば良いと思います。
日本語では工場渡しと訳されますが、そのままの通りで、自社工場や倉庫まで取りに来てもらい商品を渡すだけなので、輸出者=売主からすると決済を除けば国内取引と同じなのです!
国内取引でも自社工場からお客様の指定場所まで配送するのが普通ですから、輸出者からするとEXWは普通の国内取引よりも楽かもしれません!!
しかしながら決済がT/Tとかの電子送金では無くL/Cとかの信用状取引であれば手間が掛かりますし、輸出許認可や、必要であれば輸出貿易管理令の該非判定などは輸出者が行わなければなりません。
付随する輸出通関に関する貿易書類である、インボイスやパッキングリストの作成をしなければならないかは微妙です。
いずれにせよ特に初回の取り引きであれば、やはり当事者同士で細かい擦り合せが必要となるでしょう。
EXWと言う建値と通貨で価格が決まる
国際取引では貿易条件=建値と、どの通貨(Currency)で支払うかで価格が決定されます。
例えば見積であるプロフォーマインボイス(Proforma Invoice)や請求書であるインボイス(Invoice)などに下記の様な記載があれば、
国際取引では商売自体では儲けているつもりでも、自国以外の通貨であれば為替で損をしてしまうのを本当に注意しなければなりません。
輸入者=買主から見たEXW
一方で輸入者から見ると、コントロールが難しい相手国内で費用とリスクが早々に転嫁さてしまいますので、最も大変な貿易条件と言う事になります。
輸出者にアドバイスは貰えるでしょうが、輸入者が先方の工場から港まで運び、通関を切って、船積の手配など全てをしなければなりません。
またそれらの手間のみならず費用も負担する訳ですし、輸入者はリスクを見て自ら保険を掛けるのを忘れては危険です。
相手国での貿易業務
輸入者は輸出側の国に居る訳では無いので、実際の輸出に携わる貿易業務はほぼ出来ません。
輸出者がアドバイスのみならずアレンジをしてくれる場合も有るでしょう。
しかしながらそもそもEXWでの取り引きとなっている訳ですから、輸出者は輸出に不慣れなのか、いずれにせよ輸出に対して手間を取りたくないと考えられます。
だから大抵の場合は自国に居るフォワーダーを通して、現地のフォワーダーにアレンジして貰い、その費用を支払う事になる事が想定されます。
FOBやCIFとの違い
今回も足し算で表してみましょう。
- EXW + 港までの運送 + 輸出国での通関 = FOB
- FOB + 船積運賃(Freight) + 海上貨物保険(Insurance) = CIF
費用のみならず危険負担も負っていると言うのがポイントとなります。
EXWのメリットとまとめ
EXWの最大のメリットは輸出者と輸入者の間で一番安価に、しかも簡単に取引価格が決定される事です。
不慣れな輸出者でも対応が簡単で手離れが良いので、安心して輸出ビジネスに取り組む事が出来るでしょう。
しかしながら輸入者にとっては、貿易に関わる手間やコストやリスクを全て負わなければならないのが大変となる訳です。
仕入れコストの全体計算も複雑になってしまいますので、その分以上に輸入ビジネスに慣れていなければ避けたいところです。
いつの場合もメリットとデメリットは表裏一体で、国際取引では相手国、相手との関係性、商品の特性などを考えて最適の貿易条件で取り引きを心掛けなければなりません。