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P/Lから読み解く3つの収益と5つの費用と5つの利益

約6分

経営分析するのであれば、P/LB/Sやキャッシュフロー計算書を読み解ける様にならなければなりません。

こちらではP/Lを3つの収益5つの費用5つの利益を整理していきます。

P/Lとは?

P/LはProfit and Loss Statementの略称で、日本語では損益計算書と訳されます。

法人税法の第74条には、日本の会社は各事業年度の決算に基づいた申告書を税務署長に対して提出しなければならないと記載されています。
その申告書に対して添付しなければならないのが貸借対照表やこの損益計算書=P/L(以下、P/Lに統一していきます)なのです。

ではこのP/Lとは一体どの様な書類なのでしょうか?

P/Lとはその会社の一年間の収益費用利益を一覧表にまとめたものです。

このP/Lからその会社がどの様に儲けたのかと言う一部が垣間見えるのです。

収益・費用・利益の関係

収益とは?

簡単に言うとプラスとなる項目です。
売上が収益の代表的なものとなります。

費用とは?

簡単に言うとマイナスとなる項目です。
商品の仕入れだとかの売上原価や、人件費だとか色々と有ります。

利益とは?

利益は単独で存在せず、あくまでも収益と費用の差し引きの結果です。

計算式で書くと 利益 = 収益 ― 費用 となります。

3つの収益とは?

収益とは上述の通りプラスの項目です。
プラスとなる項目は大きく3つに分かれます。

売上高

通常はこの売上高が収益の大半となります。
売上高とは営業活動として商品やサービスを提供する事に対し、見返りとしてお客様からいただく金額の合計です。

営業外収益

営業活動以外で発生した収益です。
営業外費用と差し引きすれば、財務活動の結果である金融収支となります。

預貯金や有価証券の受取利息や所有株式から発生した受取配当金などが含まれます。

特別利益

通常の経営活動では発生しないその期限りの特別な利益です。
例えば所有している株式を売却した利益や、不動産などの固定資産を売却した利益などが含まれます。

5つの費用とは?

マイナスの項目です。
大きく5つに分かれます。

売上原価

製造する為の材料費や、製造に掛かった労務費、また販売する為に仕入れた商品代などが含まれます。

販売費及び一般管理費

商品やサービスを販売する為の直接的な営業活動費用である販売費と、営業活動を支え会社を維持する為の活動で発生する一般管理費からなる費用です。

販売費には直接部門の人件費、販売手数料、広告宣伝費、接待交際費、旅費交通費などが含まれます。
これに対して一般管理費には直接部門以外の人件費、地代家賃、減価償却費、租税公課などが含まれます。

販売費と一般管理費を分けて管理しなければならないとなると、直接部門なのかそれ以外なのかなど、勘定科目以上に管理しなければならなくなるので面倒ですよね。
だからあまり煩雑になり過ぎない様にと言う事で販売費及び一般管理費とまとめられているのです。

因みにこの販売費および一般管理費はちょっと長いので、よく略して販管費(はんかんひ)と呼ばれています。

営業外費用

営業活動以外で発生した費用です。
借財した際の利息が大半となり、その他に所有株式の評価損や売却損などが含まれます。

特別損失

通常の経営活動では発生しないその期限りの特別な損失です。
例えば特別利益の逆で所有している株式を売却した損失や、不動産などの固定資産を売却した損失なども含まれますが、それよりも天災により被害を受けた損失なんかは正に特別損失と言えるのでは無いでしょうか。

法人税、住民税及び事業税

法人税とは?

法人税は会社の所得に対して課税される国税です。
この所得とは利益と異なり、所得 = 益金 ― 損金と計算されます。

利益の計算は利益 = 収益 ― 費用でしたよね。

益金は収益とほぼほぼ同じとなるのですが、損金は費用よりも結構少なくなるのです。

そうすると利益よりも所得の方が多くなる訳で、そうすれば課税対象が多くなるので税金をより多く支払わなければならなくなると言う訳です。

これは不当に費用を膨らまし課税対象を少なくさせない様に、課税の公平を保つ為に重要な考え方となります。

法人住民税とは?

法人住民税は地方自治体に納める地方税です。
法人として享受している自治体の公的サービスに対して払わなければいけない税金となります。

法人事業税

法人事業税も地方自治体に納める地方税です。
法人としての活動に対して享受している行政サービスに対してしはらな分ければいけない税金となります。

5つの利益とは?

段階毎に収益 ― 費用で算出された利益です。

売上総利益

売上 ― 売上原価 = 売上総利益で算出される利益です。
これは商品やサービスを販売した事によって得られた、5つの利益の中で最大となる利益です。

売上原価と言う変動費しか引き当てていないので、粗い利益と言う事で通称で粗利益や粗利と呼ばれています。

営業利益

更に販管費を差し引くと営業利益となります。

 売上 ― 売上原価 ― 販管費
= 売上総利益     ― 販管費
= 営業利益               

固定費も引き当て算出されているので、営業活動で稼いだ利益と考えられます。

経常利益

営業利益から財務活動の結果である金融収支を差し引くと経常利益となります。

  営業利益 + 営業外収益 ― 営業外費用
= 営業利益 + 営業外損益        
= 経常利益                
  
 

通常の経営活動では金融収支は不可避なので、この経常利益が通常の経営活動で稼いだ利益と考えられます。

税引前当期純利益

通常の経営活動で稼いだ経常利益に、通常の経営活動では発生しないその期限りの特別損益を差し引くと税引前当期純利益となります。

  経常利益 + 特別利益 ― 特別損失
= 経常利益 + 特別損益       
= 税引前当期純利益          
   

当期純利益

税引前当期純利益に税金を差し引くと、ようやく手残りとなる最終利益の当期純利益となります。

  税引前当期純利益 ― 法人税 ― 法人住民税 ― 法人事業税
= 税引前当期純利益 ― 税金                 
= 当期純利益                      
     

3つの収益と5つの費用と5つの利益のまとめ

3つの収益と5つの費用と5つの利益の関係を図にするとこの様な感じになります。

利益はあくまでも収益と費用の差し引きの結果です。

そして5つの利益に関しては特にゴッチャになり易いので、人から利益と言われた時はどの利益なのかきちんと確認して話し合う様にしましょう。

これらの関係をきちんと理解して経営分析をしていかなければなりませんね。