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経営理念に込められた言霊に触れてみる

約8分

あなたは自分の会社の経営理念や社訓など、一言一句間違えずにきちんと言えるでしょうか?

経営理念や社訓などは、あなたの会社の経営陣が一言一句に言霊を込めて作文したものです。
だからニュアンスの様に適当に覚えるのでは無く、文書を丸暗記した上で、その理解並びに実践に務めなければいけないものなのです。

えっ、あなたの会社では額に入れて飾ってあるのを見た事は有るけれども、別に唱和したり言及される機会が全く無い?
創業者の昔の言語録であり、現経営者は全然違う事を言っている?
取り敢えずあれはあれと言う事で、実際に社内で罷り通っているのは全然別の言葉?

..そもそも経営理念云々と言うのは一体何なのでしょうか?

経営理念とは?

経営理念を敬遠させてしまっているのは、若しかしたら小難しい ” 理念 ” と言う言葉かもしれません。
しかしながら ” 理念 ” とは根本的な考え方なので、経営理念は ” 経営のあるべき考え方 ” と捉えれば良いだけだと思います。

経営する考え方は、それこそ不変であるべき部分と、時代背景に合わせて変化すべき部分が有るかと思います。
例えばお客様に対する考え方はほぼ不変であるべきで、時代変化などを考慮するとビジネスモデルの様なものは以前とは変えるべき部分が出て来て然りなのでしょう。

経営理念は経営層が変わればある程度は変わるべきだと考えますが、何故か日本企業では大昔の創業時の経営理念を使い続け、形骸化させている会社が少なくない様な気がしています。

あまり具体的過ぎるとそれこそ毎年変えなければいけなくなるでしょうし、曖昧であれば存在意義も乏しい訳です。

有名企業の経営理念を参考に、簡潔なタイプをピックアップして少し考えてみる事にしてみましょう。

京セラの経営理念

全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。

京セラの経営理念

日本を代表する稀代の名経営者、今は名誉会長を務められている稲盛和夫氏の会社の経営理念です。

本当に素晴らしい内容ですし、未来永劫変える必要の無い内容だと思います。

更に社是が、

敬天愛人

常に公明正大 謙虚な心で 仕事にあたり
天を敬い 人を愛し 仕事を愛し
会社を愛し 国を愛する心

京セラの社是

経理理念と合わせ、内容が一貫していて、全てを網羅していて、且つ心に響く伝達性が有り、覚え易く短いので本当に完璧と感じてしまいます。

ソフトバンクの経営理念

情報革命で人々を幸せに

ソフトバンクの経営理念

こちらも日本を代表する天才経営者、孫正義氏が育て上げた会社の経営理念です。

新しいビジネスモデルの会社と言う事も有り、時代を反映する ” 情報革命 ” と言う文言が含まれています。
歴史として農業革命→産業革命→情報革命と移り変わって来ていますので、将来的には恐らく変わるタイプの経営理念と考えられます。

更に、ビジョンが、

世界の人々から最も必要とされる企業グループ

ソフトバンク

視野が世界に広がっていますし、企業グループと言う視点も流石ですよね。

そしてバリュー(価値観・行動指針)が続きますが、

努力って、楽しい。

ソフトバンク

なるほどですよね。
デカイ事を成し遂げる為には、努力が当たり前で、しかも楽しむくらいでなければ駄目だと言う事ですよね。

何気に最後の句点 ” 。 ” も意味を込められているのでしょうね。

企業理念とは?

経営理念と似て非なるものに、企業理念と言うものが有ります。
これも ” 企業のあるべき考え方 ” と捉えて良さそうです。

企業と言う器があり、その器の中で経営はされているので、企業理念は経営理念の上位概念と考えられます。
しかしながら実際の運用がそこまで厳密にされているのでしょうか。

企業理念も幾つかの例を参考にしながら考えていきましょう。

ファーストリテイリングの企業理念

こちらも稀代の名経営者、柳井正氏が率いる世界的な会社の企業理念となります。

ファーストリテイリンググループの企業理念、 ” Fast Retailing Way ” はこの様な4部構成となっています。

  • ステートメント ─ Statement
  • ファーストリテイリンググループのミッション ─ Mission
  • 私たちの価値観 ─ Value
  • 私の行動規範 ─ Principle

他社には有りませんが、ファーストリテイリングの企業理念のページにはきちんと最終更新日が書いて有ります。
今までも、そしてこれからもアップデートをして活きた企業理念として活用していこうと言う姿勢が鮮明に見て取れるのが素晴らしいところです!

また国際的な企業グループですから当たり前なのかもしれませんが、各国語にもきちんと翻訳されています。

ではそれぞれをきちんと見ていきたいと思います。

先ずは他社があまり使用していないステートメントから始まります。

服を変え、常識を変え、世界を変えていく

ファーストリテイリングのステートメント ─ Statement

企業理念とステートメントの繋がりがわからないのですが、ステートメントは以下に続く内容の総括と捉えるべきなのでしょうか?

補足説明が見当たらないのでわかりませんが、ザックリとは服で世界を変えていく企業を目指すと言う事になるのでしょうか。
しかしながらこの ” 常識を変え ” と言う部分の流れが正直わかりません。

服を変える事で個人個人が自信を付けたり、見方が変わる、服→個人の成長→世界の発展と言う流れなのでしょうか?

次はミッションです。

ファーストリテイリンググループは─

■本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
■独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します

ファーストリテイリンググループのミッション ─ Mission

こちらを見ると、ステートメントの ” 常識を変える ” とは ” 世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供 ” すると言う事になるのでしょう。
” 本当に良い服 ” と言うのはその様な素晴らしい力が有るのでしょうね。とても素敵な考え方だと感心させられます。

また人々の暮らしに貢献し、社会の発展を目指すと言うのは ” 世界を変えていく ” と言う事になると思います。

このミッションの補足説明では、 ” 「ミッション(Mission)」は、ファーストリテイリングのグループ使命を表し、ファーストリテイリンググループが何のためにこの世に存在し、企業活動を通じて世の中に何をもたらそうとするのかを示す理念です。 ” と有りますが、ミッションの要約がステートメント、ミッションはステートメントの具体的説明と言う関係になっている様に感じてしまいました。

次はバリューです。

 ■ お客様の立場に立脚
 ■ 革新と挑戦
 ■ 個の尊重、会社と個人の成長
 ■ 正しさへのこだわり

ファーストリテイリングの私たちの価値観 ─ Value

” 「私たちの価値観(Value)」は、ミッション達成のためのあらゆる活動において意思決定の基準となる、基本的価値観を示す理念です。 ” と言う補足説明が有りました。

” 立場に立脚 ” の様な硬い表現を使ったのは、 ” 立場に立つ ” では軽く感じてしまい、リアルに感じられないからなのでしょうか?

” 正しさへのこだわり ” と言うのも、何か味が有る表現ですよね。
英語では ” Committing to ethical standards and correctness ” と訳されているので、この正しさには単なる正誤だけでは無く倫理観も含まれている訳です。

最後がプリンシプルです。

■ お客様のために、あらゆる活動を行います
■ 卓越性を追求し、最高水準を目指します
■ 多様性を活かし、チームワークによって高い成果を上げます
■ 何事もスピーディに実行します
■ 現場・現物・現実に基づき、リアルなビジネス活動を行います
■ 高い倫理観を持った地球市民として行動します

ファーストリテイリングの私の行動規範 ─ Principle

” 「私の行動規範(Principle)」は、ファーストリテイリンググループに所属する全ての人が、日常活
動において特に心がけるべき行動のあり方を示す理念です。 ” と言う補足説明が有りました。

” お客様のために、あらゆる活動 ” と ” あらゆる ” と言う言葉の使い方にセンスと覚悟を感じます。

また ” 多様性 ” や ” 地球市民 ” と言う表現が国際的企業ならではの様な気がしますね。

経営理念に込められた言霊に触れてみるのまとめ

経営理念は一文で終わりますが、企業理念は一文では無く付随パートと組み合わさって広がりのある1セットと言う感じになっている様です。

また経営理念もそうですが、その後に続くバリエーションは一社一社異なり、社是や社訓と漢字で続く会社もあれば、ビジョンやミッションなどの英語が続く会社など、まとめようと思えば思うほど共通点が見いだせず、寧ろそれぞれがどうあるべきか、どの様な組み合わせとなるべきなのかと言うのが見れば見るほどわからなくなったと言うのが正直なところです。
勿論ぞれぞれにかっちりとした正答が有る訳では無いので、寧ろそれぞれの個性、そしてそれぞれの思いと言うのが垣間見えたかと思います。

経営理念はその企業がどうあるべきか、どうなっていくべきかを示している訳なので、それこそその会社への最大の入社動機になるべきなのですが..残念ながらその様な話はあまり聞かないですよね。

それはほとんどの会社の経営理念が古過ぎる内容で、実際行っている内容と異なってしまっているからでは無いでしょうか。
若しくは顧客主義や社会貢献などの一語だけと曖昧過ぎて、他社との違いも感じられず、価値を感じられないからでは無いでしょうか。

折角ビジネスをするのですから、やはり素晴らしい経営理念のある会社とお付き合いしていきたいものですね!